村で見せていただいた風景は、自給自足の暮らしの最終段階という印象でした。電気が通じていてテレビと電灯はあるもののその他で電気を使っている様子はなく、乗り物以外には石油を使っていないように感じました。基本的にその村にある自然と人の力だけで成り立っていました。薪で料理、水仕事と風呂は川、食べ物は狩で調達して、野菜と米は育て、着るものは綿から、家も木から作る。この村の人たちの生きる力はすごかった。前から自給自足ということに少なからず憧れがありました。でもそんな憧れからはかけ離れた暮らしを見せてもらいました。お父さんが獲ってきた小鳥の毛もむしれない私には全然、資格がないなぁ。先進国の娘だなぁとありがたいような悲しいような気持ちになりました。だいちゃんと土山さんは毛をむしり、しっかりと食べました。頼もしく、尊敬です。
それでも、そんな暮らし方も少しずつ消えていってしまうんだな、という兆しがそこかしこに感じられました。病気になったら治療を受けたいし、子供を大学にいかせたい。当たり前のことが時代ごとに変わるとともに必要な現金収入も増えて、いいお金になる産業が栄えていく。今この村ではそれがタバコ産業で、布を作る時間が少しずつ減っていく。一般に経済的な「発展」と言われる流れを目の前で見たのかもしれません。ペースは違えど日本がこの時期を迎えたのはいつ頃なんだろう。おじいちゃんやおばあちゃんはそんな暮らしのカケラを知っているような気がします。未来の科学は昔の叡智、ここ何年かずっと考えているテーマですが、それはやっぱりほんとのことのような気がします。村でお世話になった人たちがより快適な暮らしを送ってもらえることを願いながら、日本にいる祖父母に日本人の暮らし方を出来るだけ多く学びたいなと改めて思いました。
ただ、村から戻って温かいシャワーを浴び、メールチェックをして心地よさを感じる自分もほんとう。この旅でも手放せないインターネット、アップル社の製品、patagoniaの技術など文明のすごさも改めて確認。自分なりにちょうどよく必要なことをちゃんと取捨選択するしかないな、と思います。長くなってしまいましたしここに書かなくても、とも思いましたが、共有したい気持ちもありました。私にとっては心に残る、旅のクライマックスを迎えたような2泊3日でした。以下に自分がこのシーンに出くわすとは…というちょっとショッキングな写真も出てきます。ウルルンな写真記録をどうぞ。