「自分が東京で生きているこの同じ時間に、北海道の森の中をヒグマが歩いている。そう思うだけで、人生が違うものに思えてくる。」かなり曖昧な記憶ですが、星野道夫さんが著書でこんな事を書いていました。なんとなく好きな言葉で、よく考えるとそれは当たり前の事なんですけど、それを読んだ時点では僕にはそれが実感としてはよく染み込んでこなかったように感じます。旅に出る前や旅の途中で、「何で旅に出るのか」と何度か聞かれたんですが、はっきりとした理由が自分の中にはなく、答えあぐねていたんですが、旅に出たいと思った動力の一つがここにあったのかなと最近思っています。自分が生きている同じ時間に、バラナシのガートで沐浴をしている人がいて、その周りで犬や猿や牛が同じように生きている。写真や画面ではそれを見ることができる時代ですが、僕の想像力ではそれが実感としては感じられなかった。だからそれを確かめたかったのかもしれません。今日で31歳になりました。僕は今日も元気にバラナシで生きてます。 大介